初期むし歯の可能性がある
“ホワイトスポット”
歯の表面の白く着色してあるかのような、あるいは白い斑点のように見えるものは歯科用語で“ホワイトスポット”と呼ばれているものです。
ホワイトスポットは歯の表面にあるエナメル質が酸化することによって起こるものです。言わばむし歯の一歩手前あるいは、むし歯に成り立ての状態と考えていいでしょう。
この状態では、エナメル質のカルシウム成分が少なくなり、脱灰(むし歯の初期症状)の状態となるのです。
ホワイトスポットには、むし歯の初期症状として白濁してしまうものと、エナメル質の形成不全の白濁の2種類があります。
ホワイトスポットの症状が出た場合は初期のむし歯の可能性がございますので、早期治療をお勧めいたします。
ホワイトスポットの原因
1. 脱灰
ホワイトスポットの主な原因は脱灰です。脱灰とは、口腔内の酸によって歯のエナメル質からカルシウムやリン酸塩が溶け出す現象です。酸は主に食事中の糖分が口腔内の細菌によって代謝される過程で生成されます。この酸がエナメル質を侵食し、脱灰を引き起こします。
2. 歯列矯正
歯列矯正器具、特にブラケットやワイヤーは、ホワイトスポットの発生リスクを高めます。これらの器具が歯に取り付けられていると、食べ物やプラークが溜まりやすくなり、適切な歯磨きが困難になることがあります。結果として、脱灰が進行し、ホワイトスポットが形成されやすくなります。
3. 口腔衛生の不良
日常的な口腔ケアが不十分な場合、プラーク(歯垢)が歯の表面に蓄積しやすくなります。プラークは細菌の塊であり、これが酸を生成して脱灰を促進します。特に子供や青少年は、歯磨き習慣が確立されていないことが多いため、ホワイトスポットが発生しやすいです。
4. 食生活
酸性飲料や糖分を多く含む食品の頻繁な摂取もホワイトスポットの原因となります。例えば、炭酸飲料、フルーツジュース、キャンディなどは口腔内の酸性度を高め、脱灰を促進します。
5. 唾液の不足
唾液は口腔内の酸を中和し、再石灰化(remineralization)を促進する役割を果たします。唾液の分泌が減少すると、酸の影響を受けやすくなり、ホワイトスポットが発生しやすくなります。口腔乾燥症(ドライマウス)や薬の副作用が原因で唾液の分泌が減少することがあります。
6. エナメル質形成不全
永久歯(大人の歯)が歯茎の中に埋まっている時に何かしらの原因で上手く歯が形成されないことで起こる場合もあります。
ホワイトスポットの治療方法 ホワイトスポット治療の流れ
従来の治療では、ホワイトスポットの部分を削ってプラスチックを詰める、あるいはカルシウムを補う歯磨き粉の使用で、時間をかけて自然治癒を待つなどの2通りしか治療方法がありませんでした。現在では、初期の虫歯やエナメル質の形成不全のホワイトスポットの両方に歯を削ることなく治療する方法あります。
湯島なかがみ歯科では削らないホワイトスポットの治療を提供します。
ホワイトスポット治療の手順
1. 診断
– 口腔内を検査し、ICON治療が適応かどうかを診断します。
2. クリーニング
– 治療部位を徹底的にクリーニングし、プラークや汚れを除去します。
3. エッチング
– ホワイトスポットの表面に酸性エッチング剤を塗布し、数分間待ちます。これにより、エナメル質の表面が微細に溶けて細孔が開きます。
4. 洗浄と乾燥
– エッチング剤を洗い流し、治療部位を完全に乾燥させます。
5. レジンの塗布
– 低粘度のレジンをホワイトスポットに塗布し、数分間浸透させます。このとき、レジンが細孔の中に深く浸透します。
6. 光照射
– レジンが十分に浸透した後、光照射を行い、レジンを硬化させます。
7. 仕上げ
– 硬化したレジンの表面を研磨し、滑らかに仕上げます
当院での削らない
ホワイトスポット治療
■オーラループ
ホワイトスポットの応急処置として、ホワイトニングがあります。ただし、専用の塗布剤を使用して見た目を良くするためのもので、治療とは言えません。エナメル質形成不全のホワイトスポットの場合、むし歯ではないので歯を削らないで治療する方法が考案されています。
エナメル質形成不全は、エナメル質が完全に形成されない状態のことで、永久歯の生え替わりの際に多く見られます。むし歯が原因のホワイトスポットと違って、エナメル質形成不全のホワイトスポットはエナメル質の内部でホワイトスポットが発生しているので、治療方法が異なります。
※削る場合は、かなり削る必要があるので現実的ではありません。
そこで用いられるのがオーラループという塗り薬です。もともと人の体内に存在する三リン酸5Na(ポリリン酸)を主成分としたものです。この塗り薬にはエナメル質を再生させる効果があります。歯の表面にオーラループを塗ることで、成分が歯の内部に浸透していきます。このオーラループの作用によってエナメル質を徐々に改善させていき、結果としてホワイトスポットを除去する効果が期待できます。
但し、オーラループを単に塗るだけでは効果が薄く、事前にプラズマレーザーを使用することで歯質強化処置を行った後でオーラループを塗布します。
■ICON(アイコン)
脱灰により、カルシウム成分が失われている部分に浸透させることにより、白濁を抑えミネラルが失われないようにするお薬です。
ICON治療の原理
ICON治療は、エナメル質の白斑部分にレジン(樹脂)を浸透させることで、ホワイトスポットを目立たなくします。この治療法は以下のようなステップで進行します。
1. 表面の準備– ホワイトスポットがある歯の表面を酸性エッチング剤で処理し、エナメル質の表面を微細に溶かして細孔を開きます。
2. 浸透処理– 開いた細孔に特殊な低粘度のレジンを浸透させます。このレジンはホワイトスポットの内部にまで深く浸透し、エナメル質と一体化します。
3. 硬化– レジンが浸透した後、光照射を行い、レジンを硬化させます。これにより、ホワイトスポットが周囲のエナメル質とほぼ同じ光学的特性を持つようになります。
ICON治療の利点
1. 非侵襲的– ICON治療は、歯を削る必要がほとんどなく、エナメル質を保存しながらホワイトスポットを治療することができます。
2. 美的改善– レジンがエナメル質の細孔に浸透することで、ホワイトスポットが周囲の歯と同じ色調になるため、美しい仕上がりが期待できます。
3. 早期の虫歯予防– 初期のう蝕(虫歯)の進行を防ぐ効果もあり、虫歯が進行する前に治療することができます。
4. 即効性– ICON治療は1回の治療で効果が見られることが多く、患者にとって時間的な負担が少ないです。
ICON治療の適応症
ICON治療は、以下のようなケースに適応されます。
1. 初期のう蝕(虫歯)– エナメル質の表面に限局した初期の虫歯で、まだ穴が開いていない段階のもの。
2. ホワイトスポット– 歯列矯正後に残ったホワイトスポットや、フッ素過剰症による白斑。
3. エナメル質の脱灰– 食生活や口腔ケアの不備によるエナメル質の脱灰
まとめ
ICON治療は、ホワイトスポットや初期のう蝕(虫歯)に対する効果的な治療法であり、非侵襲的で美的な仕上がりが期待できます。エナメル質を削らずに治療できるため、患者にとって負担が少なく、歯の健康を維持することができます。ホワイトスポットに悩んでいる場合は、歯科医に相談し、ICON治療の適応を検討してもらうことをお勧めします。
ホワイトスポット治療の症例紹介
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Before
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After
治療内容 | ホワイトスポット治療 |
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治療期間・回数 | 3回 |
費用等に関する事項 | 33,000円(税込)/回 |
主なリスク・副作用 | 副作用等に関する事項等の詳細 治療後24時間以内は着色性の食品を控えること。治りに個人差があり、再発する可能性があるため3〜6か月ごとにチェックする必要があります。 |