歯医者が苦手という歯科恐怖症に陥っている人は意外にも多数います。原因の多くは幼少期に歯科治療で怖い経験をしたことにあります。
かつて日本の子どもの多くが虫歯を持っていました。子どもの人数も今と違って多かったため(データでは3倍以上…)、歯医者は忙しく、子ども一人ひとりに虫歯の治療に十分な時間をかけられなかったのです。流れ作業…と言ってしまえば言い過ぎですが、次から次に虫歯の治療をこなしていかなくてはいけません。
おとなしい子どもばかりではなく、騒ぎ立てる子どもは押さえつけて動かないようにして治療を行います。治療中に暴れられると取り返しのつかないことになるからです。半ば強制的な虫歯治療は、多感な子どもにとっては恐怖体験以外の何者でもありません。そういったことが日常的に行われていたのは容易に想像がつきます。